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料亭『満月』
第1章  
そこは八畳ほどのこじんまりとした和室だった。
右奥に床の間。
床の間には古そうな掛け軸が吊され、その前にはまた古そうな壷が置かれてある。
中央に年輪模様が浮き出た厚みのある一枚板の座卓。
床の間の方には座椅子がひとつ。
反対側には二つ置かれてあった。
座卓の下は堀炬燵のように四角に穴が空いている。
料理は既に整っていた。
左側には男女がいて、今立ち上がったところだった。
二人が深々とお辞儀する。
「遠いとところ、わざわざご足労願いまして、申し訳ありませんでした」
「いや、いいんだよ。三谷君、ここは私の好きな店のひとつだから、呼ばれればいつでも来るよ」
私はほほえんで見せた。
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