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料亭『満月』
第1章
「ちょうだいいたします」
微かに震えているコップにビールを注いだ。
三人で今日の仕事をねぎらい意味の言葉で乾杯した。
私は喉を鳴らして一気に飲んだ。
コップが空になる。
一息吐くと三谷がまたビールを注いだ。
注ぎ終わると神妙な口調で訊いてきた。
「専務、それで、今回の複合機の件ですが……率直に伺って……うちはどうでしょう?」
「うむ、いい線だと思う。社長の感触だと、君のところか、ワールド商事のどちらかでいいと言っていた」
「そ、そうですか! ではあとは……?」
「うん、今回はうちの各営業所を含む、全複合機の総入れ替えだ。金額的にも桁が違う。だから社長も今回は慎重に選考して、君のところとワールドの二つに絞った。それで、あとの最終選定と細かい打ち合わせは私に一任された……」
「そうでしたか! やはり社長は重要なことは篠原専務にお任せしているのですね」
「いや、そんなことはないよ、社長は忙しい人だからね、細かいことは使いっ走りの私にやらせるだけだよ。そのくせ、何かあったら責任を取らせるんだから、たまったもんじゃないよ」
私はそう言って笑い、ビールを飲んだ。
微かに震えているコップにビールを注いだ。
三人で今日の仕事をねぎらい意味の言葉で乾杯した。
私は喉を鳴らして一気に飲んだ。
コップが空になる。
一息吐くと三谷がまたビールを注いだ。
注ぎ終わると神妙な口調で訊いてきた。
「専務、それで、今回の複合機の件ですが……率直に伺って……うちはどうでしょう?」
「うむ、いい線だと思う。社長の感触だと、君のところか、ワールド商事のどちらかでいいと言っていた」
「そ、そうですか! ではあとは……?」
「うん、今回はうちの各営業所を含む、全複合機の総入れ替えだ。金額的にも桁が違う。だから社長も今回は慎重に選考して、君のところとワールドの二つに絞った。それで、あとの最終選定と細かい打ち合わせは私に一任された……」
「そうでしたか! やはり社長は重要なことは篠原専務にお任せしているのですね」
「いや、そんなことはないよ、社長は忙しい人だからね、細かいことは使いっ走りの私にやらせるだけだよ。そのくせ、何かあったら責任を取らせるんだから、たまったもんじゃないよ」
私はそう言って笑い、ビールを飲んだ。