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* 花音’s short story *
第3章 ◆ episode2 ** 原田 唯 × 鈴木 圭吾 編
「圭吾のこと?」

「え!どうして ──」


危うく「どうして分かるんですか?」と口から出てしまいそうになった。


「仕事のこととか大抵のことは圭吾に相談するだろうし、相談できないことといったら本人の……圭吾のことかなって」



瀬戸さんて鋭い……。

でも瀬戸さんなら圭吾さんのことをよく知ってるし……何かアドバイス貰えるかも……。

私は悩みを聞いてもらうことにした。


すると ──。


「唯ちゃんは、ホントに圭吾のこと好きなんだな」

と優しく微笑んだ。


その笑顔を見て………不覚にも胸がときめいてしまった。


「まぁ圭吾だってダメなところあると思うけど。男は好きな女の前ではカッコつけたいもんだしな」

「でも、私は圭吾さんのカッコ悪いところもぜーんぶ知りたいんです!」

「圭吾のカッコ悪いところね………」

「瀬戸さん知ってますか?」

「いや、それ言ったら俺怒られるから」

ははっと瀬戸さんは笑った。そして穏やかな声で言った。


「圭吾が唯ちゃんを大切に思ってるのは、見てて伝わってくるよ。それは唯ちゃんにも伝わってるよな?」

「………はい」


── それはもう十分すぎるほど。だからこそ、同じだけの……ううん、それ以上のモノを圭吾さんに返したい。



「ただ……側にいてあげて欲しい。あいつもそれ以上のことは望んでないと思う」

「…………」


……そんなことでいいのかな。


「唯ちゃん、今、そんなことでいいのかって思っただろ?」

「えっ!……いや……はい、ちょっと思いました……」


「簡単なことのように思えるけど、実は難しいことなんだ。想い合える相手と出逢えて、一緒にいれることって奇跡だと思わない?」



奇跡………。



そうかもしれない。

私と圭吾さんの ” 始まり” から今までの日々を想った ──。
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