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* 花音’s short story *
第5章 ◆ episode4 ** 瀬戸 美月 × 永瀬 陸 編
……陸が……高所恐怖症だったなんて知らなかった。



「………ふっ」

「………何笑ってんだよ」

「笑ってない、笑ってない!」


はぁっと溜め息をついてそっぽを向く陸を見て、笑いが込み上げてきて、少し意地悪したくなった。


「ね!すごく綺麗な夜景だよ?」

「…………」

「恐いなら、手、繋いでてあげようか?」

「…………てめぇ」


私は陸の手に自分の手を重ねた。

くすくすと笑いが止まらない。


「苦手ならそう言ってくれたらよかったのに」

「…………乗りたかったんだろ?」


きゅっと手を握り返されて、ドキッと心臓が鳴った。



「………そうだけど」



沈黙が流れる ──。

ゴンドラの窓から下を見ると、キラキラとした光が小さくなっていて、もう少しでてっぺんだ。


「あのね………っ」

私は勇気を出して、陸の方を向いた。
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