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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
自分に向けられる彼女の怒りは、全て喜びに変換される。
なんて都合の良い頭なのだろう-我ながら、嗤ってしまうけど。
秀王はただただ、すぐ隣りにいる泉夏を見つめるしかなかった。
「先生が今日帰っちゃうのは勿論知ってた。でもこの三年を思えばなんて事ない、淋しいのを少し我慢すればまた逢えるって考えるようにしていた。けど、いざ『三カ月』って現実的な数字を突きつけられれば…実はとんでもなく長い期間なんだなって思ってしまった。電話で声は聞けるかもしれないけど、この物理的な距離は埋められない。触れてもらう事はどうしたって適わない。なのに今日を我慢して、またこれから三カ月も耐える?ほんとにそんな事が出来る?答えは明白だった」
-絶対、無理。
泉夏が零した恋しさは、秀王が受け止めた。
有無を言わさず奪われた泉夏の唇は、彼によって甘く溶かされてゆく。
また暫くこうして触れ合う事など出来ない-その淋しさも一時(いっとき)忘れさせてくれるほどの、情熱的なキスだった。
ようやく離された口唇から熱い吐息を漏らし、泉夏は縋るように秀王を見た。
なんて都合の良い頭なのだろう-我ながら、嗤ってしまうけど。
秀王はただただ、すぐ隣りにいる泉夏を見つめるしかなかった。
「先生が今日帰っちゃうのは勿論知ってた。でもこの三年を思えばなんて事ない、淋しいのを少し我慢すればまた逢えるって考えるようにしていた。けど、いざ『三カ月』って現実的な数字を突きつけられれば…実はとんでもなく長い期間なんだなって思ってしまった。電話で声は聞けるかもしれないけど、この物理的な距離は埋められない。触れてもらう事はどうしたって適わない。なのに今日を我慢して、またこれから三カ月も耐える?ほんとにそんな事が出来る?答えは明白だった」
-絶対、無理。
泉夏が零した恋しさは、秀王が受け止めた。
有無を言わさず奪われた泉夏の唇は、彼によって甘く溶かされてゆく。
また暫くこうして触れ合う事など出来ない-その淋しさも一時(いっとき)忘れさせてくれるほどの、情熱的なキスだった。
ようやく離された口唇から熱い吐息を漏らし、泉夏は縋るように秀王を見た。

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