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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
けれど。
どんなに立派な男を演じてみせたって。
こんなに近くにいるのに-触れられない。
その切なさは相当だった。
現実では叶わわぬ事は、せめて想像してやり過ごすしかなかった。
乱暴に組み敷き。
荒々しく衣服を剥ぎ取り。
それから-。
自分の脳内で彼女は思いのままだった。
それはもう好き勝手に。
自分の方がよほどずっと、醜くて、卑猥だった。
こんなにも欲に塗れた男が思うはずがない。
抱き締めて終わるはずだった今夜を、変えてくれた彼女を-『はしたない』?
準備をするのなら、絶対男の自分の方だった。
必要のない恥ずかしさに晒してしまった事を、本当は謝りたいけれど。
それは折角収まりつつある彼女の羞恥心に、再び火を点けてしまうに違いなかった。
だからその言葉はあえて言わない。
『ごめん』は胸中だけに留めておく。
どんなに立派な男を演じてみせたって。
こんなに近くにいるのに-触れられない。
その切なさは相当だった。
現実では叶わわぬ事は、せめて想像してやり過ごすしかなかった。
乱暴に組み敷き。
荒々しく衣服を剥ぎ取り。
それから-。
自分の脳内で彼女は思いのままだった。
それはもう好き勝手に。
自分の方がよほどずっと、醜くて、卑猥だった。
こんなにも欲に塗れた男が思うはずがない。
抱き締めて終わるはずだった今夜を、変えてくれた彼女を-『はしたない』?
準備をするのなら、絶対男の自分の方だった。
必要のない恥ずかしさに晒してしまった事を、本当は謝りたいけれど。
それは折角収まりつつある彼女の羞恥心に、再び火を点けてしまうに違いなかった。
だからその言葉はあえて言わない。
『ごめん』は胸中だけに留めておく。

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