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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
「…先生も」
「え?」
「先生も…脱いで」
-そうしたら、もうちょっとあったくなる。
またしても女の自分から、随分積極的な事を言ってしまった。
流石に『はしたない』と思われるかもしれない-泉夏は内心気を揉む。
不安の中にいれば、静かに身体を離された。
何か言われるだろうか-面を上げれずにいれば、衣擦れのような音がした。
その音に気付いて彼を確認するより早く、先程と同じように引き寄せられた。
なんら変わりない抱擁のはずだった。
違うのは洋服を通してじゃない事。
いつも間にか、素肌と素肌が触れ合っていた。
自分だけじゃない。
自分を抱く彼の腕も、胸も-要は全て。
自分と一緒で、何もその身に着けてはいなかった。
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