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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
「勿論信じる。でも例え違ったとしても、それは俺に非がある事だから。その事で俺は泉夏を責めたりしない。責める資格なんてない。そもそも責めるような事でもない」
「…先生は、どうだった?」
ずっと訊きたかった事。
この機に乗じて、泉夏は遂に彼に長年の思いをぶつけた。
「一年生の冬。私、先生に訊いたよね。『彼女がいるか』って。あの時先生は『いない』って教えてくれた。…あれは本当だった?」
「本当だ。嘘じゃない」
自分の腕の中で不安気に待つ泉夏に、秀王は即答した。
真実を告げたつもりだった。
でも今更のようにこんな事を問われる理由は、ひとつしかなかった。
「…もしかしてずっと疑ってたりした?」
「ううん。本当だって思っていたよ。あの時の先生は嘘を吐いてなかった。それくらい私にだって分かる。それはいいの。その…それから今まではどうだったかなって」
「それから?」
「大学を辞めてから…ううん、私が先生を初めて好きになった入学式の日から、今日までの間…先生は誰かを好きだったりした事あった?誰かと付き合ってたり…した?」
泉夏は吐き出した。
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