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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
「ほんとに…誰とも?私…信じてもいい?」
硬くなった乳頭を、正に彼に口に含まれる間際。
泉夏は呟いた。
「嘘吐かないでって言ったけど…嘘でいいから」
-もう一度『うん』って言って?
『誰かがいた』って言われたら、やっぱり嫌。
『誰かがいた』としても『誰もいない』って言って。
そう、言って。
魅惑の頂を味わいかけた秀王の唇は、そこを掠めただけで離れた。
顔を上げ、困ったような微笑みを泉夏に送った。
「いないものはいない。してないものはしてない。そうとしか言いようがない。『本当』だよ」
「…うん」
「まだ少し疑ってるような感じがするのは、気のせい?」
指摘され、泉夏は言葉に詰まる。
返事をするまでの微妙な間を、目敏く見抜かれてしまった。
『嘘でもいい』と言う自分の申し出を、彼はきちんと果たしてくれたというのに。
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