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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
頼りない灯りの中だったけど、自分の下で恥らう彼女はよく確認出来た。
その堪らなく可愛い姿に、逡巡した後、秀王は開口した。
「少しは気になってくれてる…そう思ってもいい?」
掴んでいた手首を離し、指と指を絡めるように互いの手を繋ぐ。
「誰かとどうかなっていたんじゃないかって…ちょっとは妬いてくれてる」
-そう、自惚れてもいい?
万が一そうじゃなかった場合は、恥ずかし過ぎると思ったが-精一杯の勇気をもって秀王は訊いた。
「…いちいち嫉妬して子供だって呆れてしまう?」
吐露した泉夏に、彼は笑って頭(かぶり)を振った。
「その逆だ。それだけ好きでいてくれてるって…凄く嬉しい」
「…先生は」
「え?」
「先生は大人だから…気になったりなんかしないよね?」
-私に何があったかとか。
最後の一言は、言えなかった。
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