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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
さっきまではふたりで繋いでいた手。
今や彼の両手は、自分を果てない世界へ導く道具だった。
胸元で蠢く秀王の頭を抱え、泉夏はその髪を掻き乱しながら訴えた。
「んあ…あんっ…だめ…せんせ…一緒になんて」
-しないで。
互いに手を握ったままでは不可能だった、両方の膨らみへの愛撫。
その攻めにどうにか耐える為に、彼にしがみつく自分。
「せんせ…あぁ…」
乳房から腹部に下った秀王の口唇に、泉夏は身を捩る。
脇腹に触れる指に、性的な興奮以外にもくすぐったさも感じてしまう。
情事の最中に複雑な感触に悶えていれば、ウエスト部分の締めつけが不意になくなった。
「泉夏。少し腰を上げて?」
言われて初めて、ジーンズのトップボタンは外され、ジッパーも下ろされていた事を悟る。
思わずまじまじと彼を見遣れば、微笑まれた。
いつもと変わらぬ笑顔に導かれ、泉夏は素直に腰を浮かし-はたと思い当たる。
しかしベッドに腰をつけた時は、もう遅かった。
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