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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
研究室のある建物が見えてきた。
これで、お別れ-切なさに、吐息が漏れる。
でも十分-そう、思わないと。
今日は本当に夢みたいな一日の始まりだった。
普段だったら絶対あり得なかった。
早朝で学生が少ないから特別なのか-ともかく先生と会話が出来た。
一緒に、歩けた。
それを先生が許してくれた。
これ以上を望むだなんて。
欲深過ぎる。
「…もし気を悪くしていないのなら、もう少しだけ喋っても?」
建物に足を踏み入れる、その時。
秀王の横顔が泉夏に向けられた。
その誘うようにも見える眼差しに、心臓が高鳴る。
小さく-頷く。
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