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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
勿論気付いていたけど、改めて言われると目のやり場に非常に困ってしまう。
居心地悪そうな泉夏に、秀王は微かに苦笑して告げた。
「それでも自分の事は二の次だって思ってる。それだけは信じて欲しい」
当然のように、自分を見つめる瞳に偽りの色は少しもなかった。
「…信じてる」
-そんなの訊くまでもない。
泉夏が恥ずかしさの中で返事をすれば、秀王は安心したように微笑んだ。
「うん。きっと泉夏はそう思ってくれてる…分かってた。分かって…俺は凄く嬉しかった」
「分かってた?嬉しかった…?」
またしても理解に苦しみ、泉夏は首を傾げる。
「嫌がられてたら、多分そうはならない。好きで、信じて、俺に全てを任せてくれてるからだって思った。泉夏を信じているのは俺も同じだから、泉夏の言った言葉が嘘だと思ってたわけじゃない。でも、今夜は初めてだから。泉夏の何もかもが分からなくて、とても心配だった。泉夏の様子を見ていて、きっと大丈夫なのは分かっていたけど…その、言い方はちょっとあれだけど、証拠みたいなものが欲しかった言うか」
「証拠…?」
増々頭が混乱してしまう。
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