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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
「せんせい-」
-いま、何時?
不安を帯びた声音で、泉夏は恐々訊く。
出発まではまだ余裕はあるはずだけど、念の為だった。
自分の位置からは、時計は確認出来ない。
泉夏は秀王の表情から、それを窺い知ろうとする。
しかし肝心の彼はベッドサイドを一瞥したが、正確な時刻は答えない。
彼女に顔を寄せ、秀王はたったひとこと短く告げた。
「まだ、大丈夫」
「…うん」
『まだ』だけど、何れは訪れるその時。
どうしても淋しさが押し寄せてくる。
翳った泉夏の顔色に気付き、秀王は彼女の首筋に唇を這わせた。
沈みかけた気持ちは、心地良さに塗り替えられてゆく。
「せんせい…すき」
伝う唇と、舌。
身体の中心を熱く掻き乱す、欲の塊。
重なる快感に、確実に頂に上ってゆく。
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