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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
彼を疑っているわけではない。
ただ自分に自信がないだけだった。
泣き出しそうにも見える目で問われ、ようやく秀王は表情を崩した。
「そんなのは当たり前だ」
拍子抜けするどころの話ではなかった。
「…ほんとう?」
「うん」
「先生も…気持ちいい?」
「勿論」
「私として良かったって…思ってくれてる?」
「泉夏とだから、最高に気持ちがいい」
まだ酷く思い悩んでいる彼女を抱く手に力が籠る。
「誰としても、こんなに幸せで満たされない。こんな快感は得られない。泉夏とだからだ。泉夏以外、俺は誰も欲しいとは思わない」
彼の言葉に少しの偽りもないのは明らかで。
泉夏の涙腺は緩み、視界がぼやけてきてしまう。
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