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第15章 蜜夜の春

「でも、あまりにも気持ちがいいのも考えものだ」
「え…？」
「泉夏が相手というだけで、もう十分過ぎるくらいの快感が得られているのに。泉夏は構わずどんどん俺を翻弄してくるから正直、何度終わりそうになったか分からない」
－何回も言ったはずだ。
からかわれ、泉夏の零れそうだった涙が引っ込む。
「…だから、してない」
少し険しくなりかけた泉夏の表情に、秀王は苦笑した。
「泉夏との初めてを簡単に終わりにしたくなくて、これでも相当頑張ったつもりだけど。…でも申し訳ないけど、そろそろ限界かもしれない」
－ごめんね。
正面切って謝られ、泉夏は恥じ入ってしまう。
そんな事を謝罪されても、なんと答えればいいのか。
『大丈夫です』とも『だめ』とも言えない。
ただ恥ずかしがっていれば、彼の指先が頬に触れ、優しく撫でてゆく。