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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
「今度逢えた時はもっともっと、泉夏とこうしていたい。何度も。一晩中でも」
「…一晩中は流石に無理だよ」
「気持ち的にはって意味」
秀王は肩を揺らした。
泉夏の顔にも、ようやく笑みが戻る。
今度逢う時の楽しみにとっておいて-囁かれ、恥ずかしさが上乗せされる。
そうこうしている間(ま)に、最後に向けての穏やかな動きが再開された。
互いに懸命に堪えながら-でも少しずつ、確かに、上り詰めてゆく。
「せんせい…もっと…もっとなの」
うわ言のように欲しがられ。
とっくに尽きかけているのに、結局はいつだって応えてしまう。
腰を打ち込んでやれば、腰を突き返され。
ふたりの限界に更なる拍車をかけてゆく。
こんなに短い時間じゃ、足りなかった。
彼女を思う存分愛すには。
彼女の全てを自分のものにするには。
決して口には出さないけれど、もっと早くにこうしていたのなら-そんな後悔が押し寄せてきてしまう。
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