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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
彼女に話した事は本気だった。
もしも時間が許すのならば、夜が明けてもなお、抱いて決して離さなかった。
そこまで体力がもってくれるのかは、また別問題だったけれど。
足りない時間を嘆いたところで、どうしようもないのは知ってる。
三年分の想いを籠め、残り僅かを繋がる他はない。
次に逢う日までしっかりと分かっておきたい。
次に逢う日までしっかりと分からせたい。
次に逢う日までしっかりと分からせておきたい。
体力の限界や、精を放ちたい強い欲求と、可能ならばあともう少し-そんな狭間での律動。
互いに抱き合い、互いの身体を貪る中、秀王は彼女の名を口にした。
「泉夏-」
「先生…?」
こちら側に視線を定めた泉夏に、秀王は自分の願いを吐露した。
「『先生』じゃなく、名前で呼んで欲しい…そう言ったら、泉夏は叶えてくれる?」
「え?」
快感に悶え、恍惚としていた瞳が、通常のそれに戻る。
絶句してしまった泉夏に、秀王は苦笑いした。
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