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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「色好い返事をもらえて、それはもう嬉しかった。…だけど、いざ離れ離れになってみれば、急に不安に襲われるようにもなった。電話やメールで毎日繋がる事は出来ても、すぐ側にいる事は適わない。泉夏を信じてないわけじゃない。遠過ぎる距離が『待ってもらえない』理由になってしまう事は、有り得る。心変わりしてしまうには、十分な理由になるなって思ったんだ」
『その時の気持ち』を思い出し、彼女を抱く手に力が加わった。
「電話でもメールでも『そんな事も』『そんな素振りも』泉夏は微塵も表さなかった。だから『待っててもらえてる』と思ってきた。…けれどやっぱり、それを確信出来るのは、実際逢ってからだった。日本に帰って来る度に、酷く緊張して…泉夏の笑顔を見てようやく安心してた。そんな想いを、夏の始めとクリスマスに繰り返して-」
-やっと、今日が来た。
吐き出す言には、重みが伴った。
『今日』が本当にくるなんて。
何度も言うけれど『信じられない』のではなかった。
『疑っていた』わけでもない。
『待っててもらえる』だけの確たる自信が、自分になかった。
『その時の気持ち』を思い出し、彼女を抱く手に力が加わった。
「電話でもメールでも『そんな事も』『そんな素振りも』泉夏は微塵も表さなかった。だから『待っててもらえてる』と思ってきた。…けれどやっぱり、それを確信出来るのは、実際逢ってからだった。日本に帰って来る度に、酷く緊張して…泉夏の笑顔を見てようやく安心してた。そんな想いを、夏の始めとクリスマスに繰り返して-」
-やっと、今日が来た。
吐き出す言には、重みが伴った。
『今日』が本当にくるなんて。
何度も言うけれど『信じられない』のではなかった。
『疑っていた』わけでもない。
『待っててもらえる』だけの確たる自信が、自分になかった。

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