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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「ありがと、先生。帰って来てくれただけで嬉しいのに、こんな素敵な所に連れて来てくれて」
感謝を伝えれば、頭(かぶり)を振られた。
「『ありがとう』を言うのは、俺の方だ」
-泉夏のお蔭で、俺はいつも幸せでいられる。
相変わらず綺麗な顔、真剣な両眼に久し振りに見詰められ、泉夏は気恥ずかしくなってしまう。
心臓が激しく踊り、頬は火照り出す。
これ以上見続けたら大変な事になりそう-何か別の話題で誤魔化すしかない。
「きっとお風呂もおっきくて綺麗なんだろうね。見て来てもいい?ついでにお湯を-」
-入れる?
確認の為に開かれた唇は、素早く奪われる。
気付いた時には、既に舌が差し入れられていた。
久々の感触に、全身がざわりとする。
かっと、中心が熱くなった。
なんて正直な身体なのだろう-我ながら驚くほどに。
窓に背をつける形で大人しく接吻を受け、彼に全てを任せる。
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