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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「ん、あっ…」
遠慮なく口内を這い回るものに、くらくらする。
混ざる、ふたりの唾液。
去年は三度逢えた。
想いが通じた春。
少し早い誕生日を祝ってくれた初夏。
初めてふたりで過ごしたクリスマス。
今までに比べたら長い時間を過ごせたけれど、それでも合計して二週間にも届かなかった。
一年のうち、たったのそれだけ。
我儘を言ってはいけない。
贅沢を言ってはいけない。
逢いたくても逢えなかった時に比べれば。
そう思ってきた。
そう思う事によって、どうにか過ごしてきた。
でも、本音を言えば。
もっと一緒にいたかった。
メールも電話も沢山くれたけれど。
でも、やっぱり逢いたかった。
逢いたくて堪らなかった。
それに勝るものなど存在しない。
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