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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「初めは、こうして抱き締めるだけで精一杯だった。…今は、ようやく少しはゆとりが出てきたらしい」
-本当に、一緒に?
二度目の問いにも確かに頷いてみせる彼女に、これ以上の自制は不可能だった。
羽織っていた薄いピンクのカーディガンに、手を伸ばす。
ボタンは一番上のみ嵌められており、それを脱がせる事自体は容易かった。
「…お湯、まだ入れてないよ?」
浴槽いっぱいに溜まるには、暫く時間を要する。
今から脱ぐのは些か早過ぎるのでないか-泉夏が疑問を口にする間に、既にカーディガンは床の上だった。
次いで、花柄のワンピースの背中側にあるファスナーを探り当てられ、なんの躊躇いもなく一気に下される。
両腕を外されれば、水色の大きな花が床に咲いた。
あっと言う間にスリップ一枚にされた泉夏は、条件反射で胸元を覆いたくなったが、唇を塞がれた為にそれは適わなかった。
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