この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
桜の季節が巡っても
第1章 心恋の春
大学に入学して時が過ぎ、今はもうすっかり葉桜へと変わっていた。
連鎖的に入学式の苦い記憶が、泉夏の脳裏に甦る。
結論から言うと、結局彼女は式の半分は出席出来なかった。
更に、膝をついて探し物をしていたものだから、ストッキングは破れ、新調したスーツは皺だらけ、強風に煽られセットした髪の毛はぼさぼさ、汗で化粧は崩れてきており-極めつけは眼鏡姿。
母親には家路に着く間中、ずうっとお小言をくらった。
あんまり蒸し返したくない、入学初日の出来事-。
-でも。
多分、探し物は見付かったから-泉夏の頬が緩んだその時。
「ちょっとお~、なに一人でにやにやしてんのよ~!?」
背後から揶揄する声が聞こえた。
泉夏が振り返ろうとするより早く、遠慮などまるでない力で背中を叩かれた。
「…麻衣(まい)」
痛む背を押さえつつ。
泉夏は後ろを振り返る。
連鎖的に入学式の苦い記憶が、泉夏の脳裏に甦る。
結論から言うと、結局彼女は式の半分は出席出来なかった。
更に、膝をついて探し物をしていたものだから、ストッキングは破れ、新調したスーツは皺だらけ、強風に煽られセットした髪の毛はぼさぼさ、汗で化粧は崩れてきており-極めつけは眼鏡姿。
母親には家路に着く間中、ずうっとお小言をくらった。
あんまり蒸し返したくない、入学初日の出来事-。
-でも。
多分、探し物は見付かったから-泉夏の頬が緩んだその時。
「ちょっとお~、なに一人でにやにやしてんのよ~!?」
背後から揶揄する声が聞こえた。
泉夏が振り返ろうとするより早く、遠慮などまるでない力で背中を叩かれた。
「…麻衣(まい)」
痛む背を押さえつつ。
泉夏は後ろを振り返る。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


