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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
初めての夜にお願いされて、その名を初めて呼んだ。
本来ならば、それから徐々に呼び慣れてゆくはずだった。
だが、生憎とすぐに遠距離での付き合いが始まり、連絡を取り合う方法は電話やメール以外になかった。
頻繁に逢えたのなら、顔を合わせる毎に少しずつでも慣れていけたと思うのに。
たった一晩。
僅かの回数。
それだけでは申し訳ないけれど、普通に呼び合うまでは至らなかった。
その事について電話でもメールでも、彼からも特段何も言われた事はなかったが-それは恐らく、頼みづらかったのだと思う。
遠く離れる原因を作った自分を責めこそすれ、自分の願いを軽々しく口になど出来なかったのだろう。
その代わりのように。
久し振りの再会を果たした夜は、今日のように、遠慮がちにお願いをされた。
乞われれば『嫌』などと断る理由もなく。
照れながらも『先生』から『恋人』に変わった彼を呼んできた。
本来ならば、それから徐々に呼び慣れてゆくはずだった。
だが、生憎とすぐに遠距離での付き合いが始まり、連絡を取り合う方法は電話やメール以外になかった。
頻繁に逢えたのなら、顔を合わせる毎に少しずつでも慣れていけたと思うのに。
たった一晩。
僅かの回数。
それだけでは申し訳ないけれど、普通に呼び合うまでは至らなかった。
その事について電話でもメールでも、彼からも特段何も言われた事はなかったが-それは恐らく、頼みづらかったのだと思う。
遠く離れる原因を作った自分を責めこそすれ、自分の願いを軽々しく口になど出来なかったのだろう。
その代わりのように。
久し振りの再会を果たした夜は、今日のように、遠慮がちにお願いをされた。
乞われれば『嫌』などと断る理由もなく。
照れながらも『先生』から『恋人』に変わった彼を呼んできた。

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