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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
すぐに返答するのも癪なので、暫く間を空けた後(のち)に告げる。
「…少しずつは、大丈夫になってきてるけど」
泉夏が乱れた息と共に突き放すように言えば、彼はもう一度笑ったようだった。
「そう?」
-なら、良かった。
秀王は言い終わり。
覆い被さるように、泉夏の背を抱き締めた。
「今日の先生は…いつもと違う」
普段と変わらない腕に安心しながら、泉夏は呟いた。
「違う?」
訊き返され、泉夏は焦ってしまう。
「ち、ちがうじゃん。色々と」
「色々?」
続けざまの質問に、泉夏は追い詰められる。
「こうして…その、こう…後ろから」
-とかっ?
言い終わり。
身体中の血液が集まったかのように、泉夏の顔が真っ赤に熟す。
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