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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
垣間見る横顔からしか推測出来ないが、恥ずかしさの極みにいるらしい彼女。
そんな泉夏を可愛く思い、秀王は彼女の背中に唇を押し当てた。
微かに震えた背を構わず吸えば、もう幾つめ-赤い口付けの跡が白い肌に追加される。
『自分のもの』だという印を彼女に施し、その刻みを眺めながら秀王は口を開く。
「だめだった?」
「だめ…じゃない。けど」
「けど?」
「ちょっと…びっくりした」
泉夏が心の内を正直に伝えれば、優しい腕がもっと優しく腰を抱いた。
「ごめん。『平気だ』って言ってはくれたけど。でも嫌がられたりしたら、いつでもすぐにやめようって思ってた」
-嘘じゃない。
真摯に告げられ、泉夏は頷く。
彼の事だ。
そんなの、疑いようがなかった。
「だから大丈夫か、もう一度訊いた」
-返事はもらえなかったけれど。
愉悦を含んだような背後からの物言いに、泉夏は引っ掛かりを覚え、恥ずかしさが上乗せされる。
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