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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「正直な胸の内を明かすなら、今まで泉夏に対して申し訳ない気持ちがなかったと言ったら…それは嘘になる。そんな事を思う必要は少しもないと、泉夏は言ってくれていたけれど。俺の中ではやっぱり、思い切れない部分がどうしてもあった。距離の長さを思えば…どうしても難しかった。例えばの話だけど…何かして欲しい事があったとしても、躊躇してしまったり。言いたい事があったとしても…その直前で言葉を呑み込んでしまったり」
「…ずっと、我慢してきた?」
泉夏は急激に不安になる。
離れ離れの頃。
何も言ってはこないけど、きっと気後れしてると思う場面があった。
その都度、思い悩む必要は全くないのだと伝えてきたつもりだった。
でも、気付けなかった場合も恐らくあっただろう。
その時が自分が思っていた以上に、実は沢山あったりしたのだろうか。
気付いてあげる事も出来ずに、ずっと過ごしてきてしまったのだろうか。
強張った泉夏の頬を解すように、秀王は撫でた。
「そんな事はない」
笑った彼の顔は-多分嘘ではなかった。
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