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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「『必要ない』っていう泉夏の言葉に、情けないけどかなり救ってもらっていたし。我慢とか…そんな大袈裟なものじゃないんだ。迷いなく自分の感情を口にする事が憚(はばか)られたとか…些細な事で」
「感情?」
「うん。『逢いたい』『淋しい』って思ったとしても…頻繁にはあまり言えなかったかな。電話やメールをもうちょっとしていたいと思ったとしても…なかなか言い出せなかった。こんな状況を作り上げた張本人が、そんな事を言う資格はないんじゃないかって。泉夏の方がずっと我慢をしてきたのに、我慢をさせてるのに」
-だから。
弱々しく微笑む彼を、泉夏はやるせない思いで見据えた。
「…言ってよ」
『怒っている事』を分からせてやりたくて、あえてそんな表情を作ったのに-残念ながら、それは効果を発揮しなかった。
「なんでもないって私の言葉に救われてたって言うのなら、我慢なんかしないで。例えそう思ってしまったとしても『必要ない』って言葉を思い出して、我慢なんかしないで言ってくれて良かったのに」
泣きそうな顔で訴えれば、微かに笑ったまま頷かれた。
「感情?」
「うん。『逢いたい』『淋しい』って思ったとしても…頻繁にはあまり言えなかったかな。電話やメールをもうちょっとしていたいと思ったとしても…なかなか言い出せなかった。こんな状況を作り上げた張本人が、そんな事を言う資格はないんじゃないかって。泉夏の方がずっと我慢をしてきたのに、我慢をさせてるのに」
-だから。
弱々しく微笑む彼を、泉夏はやるせない思いで見据えた。
「…言ってよ」
『怒っている事』を分からせてやりたくて、あえてそんな表情を作ったのに-残念ながら、それは効果を発揮しなかった。
「なんでもないって私の言葉に救われてたって言うのなら、我慢なんかしないで。例えそう思ってしまったとしても『必要ない』って言葉を思い出して、我慢なんかしないで言ってくれて良かったのに」
泣きそうな顔で訴えれば、微かに笑ったまま頷かれた。

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