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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「とっても淋しかったの」
今更だけど、伝えたかった。
今更でも伝えておきたかった。
「時々じゃなく。毎日凄く淋(さみ)しかった。毎日凄く逢いたかった」
「…うん」
切々と訴えてくる泉夏を、秀王は受け止めた。
「俺も泉夏を想わない日はなかったよ。『夢でもいいから逢いたい』って、心の底から毎晩願ってた」
喉まで出かかっても、遠く離れている時は躊躇ってしまっていた事。
込み上げるものを抑えるように、ふたりは互いに抱き合った。
「『申し訳なかった』って気持ちは、これからも消えない。それは自分への戒めでもある。その思いは忘れずに、これからはいつでも泉夏の側にいて、少しずつ償っていけたらって。…その代わりではないけれど、だから許して欲しいと思った。今夜は…今夜からは我慢せずに、自分のしたいように泉夏をする事を」
「…したいように、って」
いくらか落ち着いていた身体の熱が、再び高まってゆく。
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