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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「乱暴にはしてないつもりだけど…無意識のうちにそんな風にしてしまっていたら、ごめん。今夜は特別な夜だから、気持ちが昂ぶってる。感情や行動を、上手くコントロール出来てない自分がいる。それを『いつもと違う』って、泉夏が感じるのかなって」
「…乱暴にはされてない、です」
頬を赤らめながらも答える泉夏に、秀王は安堵した。
「そう?なら良かった」
「…先生は、我慢してきたの?」
「え?」
「今日してる事は…今までしたいと思いながらも、先生が我慢してきた事?」
自分で訊いたくせに、増々顔は火照ってしまう。
彼女がこうも真っ赤になっている意味が、初めは分からなかった。
でも程なくある事に思い当たり、秀王は笑いを漏らした。
「全くしたくなかったかと言われたら、それは嘘になるけど。我慢出来ないくらいに、どうしてもしたかったわけでもない」
「…そう、ですか」
完熟した赤い果実のような頬で、泉夏は納得する。
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