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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「言わなかっただけで、ほんとはずっと待ってた。また呼んでくれるのを、さっきからずっと」
「だからごめんねって。わざとじゃないの」
彼が自分に怒りをぶつける事など、まずない。
こちらが何か悪い事をしたと思ったとしても、謝罪して許してもらえなかった事など今まで一度だって。
確かに落ち度は自分にあったけど。
でも-。
不安そうに目線を外した泉夏の唇に、彼のそれが掠めた。
びっくりして再びそちらを見れば、いつもと同じ笑顔があった。
「我慢しなくていいって言ってくれた」
「…うん」
「もう我慢しないって決めた」
「…うん」
「これはお願いじゃない」
「え?」
「命令だよ、泉夏」
-ちゃんと言うまで『許さない』
放たれるそれは絶対的な強制力を孕み、驚いている間に抽送の速度が上がった。
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