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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「ちゃんと言ったら…許してくれるって」
-うそつき。
彼の望み通りにした。
なのに、やめてくれない。
身体の中心を容赦なく苛(さいな)める動きは、終わる気配は到底ない。
甘い吐息と共に自分を非難する泉夏の姿は、増々彼の愛欲を掻き立てる。
「嘘じゃない。これは全部…泉夏が悪い」
情けないが、責任転嫁するしかなかった。
彼女が相手だと、さほどないはずだった肉欲も極限まで解放される。
それは最早、分かり切った事だったけれど。
今夜の自分はいつにも増して、貪欲だった。
『いつもと違う自分』を認めざるを得ないほどに。
突き進む一方の自分を抑えるより先に、彼女曰く『意地悪な言葉』で攻撃し『意地悪な行為』で責めてしまう。
嫌いなのではない。
ましてや、憎いわけでも。
逆だ。
好きで。
好きで、堪らない。
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