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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「ごめんね」
『あんな事』-直接的に言ったわけではないのに、何を示しているのか彼はすぐに理解したようだった。
間、髪を入れずに、謝られた。
だがしかし-申し訳ないという気持ちが籠っているようには思えない。
その証拠に、彼は微かに笑っていた。
「な、なんにもおかしくないしっ?それどころか、とっても恥ずかしくって…!」
泉夏は思わず声を荒げた。
勇気を出して口にしたのに。
なのに面白そうに軽く扱われて、流石に気分は良くない。
『嗤ってない』と言ったくせに、結局嗤ってる。
こうなってくるとやっぱり、自分をからかって楽しむ為にしたとしか思えなくなる。
こんなにも意地悪なんて知らなかった-もっと怒ってやると意気込んだ時。
「だからそれも、泉夏が悪い」
さっきと同じ台詞が吐かれた。
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