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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「泉夏がすぐに言ってくれないから。だからした。言ってくれればしなかった」
-多分。
険しい表情をしている自分とは真逆に、実に涼しい顔で告げられた。
またもや自分のせいにされた事も面白くない。
けれど一番は、付け足されたそれ。
『多分』だなんて。
言っても言わなくてもだめな今の状況と、完全に同じではないか。
自分に対して遠慮も我慢もいらない-本当の気持ちだった。
その思いは、これからも変わらない。
何を言われても。
何をされても。
彼の全てを受け入れるつもりでいる。
受け入れたい-そう、思ってる。
ようやく彼が自分自身を許し、自分に対してなんの躊躇いもなくなった-そう言ってくれて、嬉しかった。
でもなんか、違う。
あまりにもいつもの彼と違い過ぎて、戸惑ってしまう。
今までの彼は全て偽りだったんじゃないか-そんな感じさえしてしまうほどに。
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