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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
ベッドの軋みに、瞳が開(ひら)いた。
辺りをぼんやり見遣れば、部屋は先程よりも更に照明が落されていた。
寝台の横に置かれたテーブルランプだけが、寝室をほの明るく照らしていた。
どれくらい寝てたのだろう。
徐々に意識が覚醒する。
そう言えば、化粧も落としていない。
コンタクトもしたままだ。
このまま眠ってしまいたいところだったが、流石にそれはまずいと脳が認識した。
鉛のような身体を起こそうとして-それは適わない。
後ろから伸びた片腕に引き寄せられる。
「起こしてしまった?」
その手は剥き出しの自らの胸に触れていた。
下から押し上げるように掴まれ、思わず甘い声が出そうになる。
背面から抱き寄せた際、たまたまそこに手がいってしまっただけだろうに。
なのに、すぐに反応してしまう。
ついさっきまで、十分な悦びを与えられた場所なのに。
まるでまだまだ欲求不満のようで、そんな自分が恥ずかしくなってしまう。
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