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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「…シャワーを浴びたい」
努めて冷静に、泉夏は呟いた。
「今から?」
少し驚いたように訊き返されて、泉夏は身体を反転させた。
向き合えば、背後にいた彼と目が合い、気遣うように微笑まれた。
「眠くない?」
「…眠い、けど。お化粧落とさなきゃだし、コンタクトしたままだし。やっぱりお風呂に入ってから寝たい」
「そう?泉夏がそうしたいなら勿論いいけど…疲れて眠ってしまっていたから、大丈夫かなって」
「せん…秀は、お風呂入ったよね?」
問うまでもなく、眠りに落ちる直前、浴室から水音がしてたのを覚えてる。
それに彼からはいつもとは違う香りがする-きっと、ホテルに備え付けのシャンプーのそれに違いなかった。
「うん。泉夏が眠ってる間にね」
寸前で言い直した泉夏に笑い、秀王は彼女を胸に抱いた。
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