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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「うん。大学にいた頃は、沢山の学生が秀を『先生』って呼んでたでしょう?それは当然の事なんだけど…『私だけの先生』になってくれたらどんなに嬉しいだろうって、心の中では思ってた。『私だけの先生』に、いつかなってくれたらなって。だから、私だけが『先生』って呼んでいて、今は正真正銘『私だけの』なんだなって思ったら」
-すごく、うれしい。
囁き。
泉夏は秀王の胸に頬を擦り寄せた。
彼女はいつだって可愛いかった。
愛おしさを伝え、どんなに自分が満ち足りているかを分からせたかった。
けれど結局のところ、その細い身体を抱き締め、ただ撫でるしか出来ない。
こういう事が不得手過ぎて我ながらもどかしくなるが-彼女は特段、それを不満に感じてる様子はない。
それどころか、自分と同じようにとても幸せそうで、募る想いに泣きたくすらなる。
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