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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
まあ、彼が自分に好意を持ってた事は今日まで知らなかったし、知ったからと言ってそれで好きになるわけでもないけれど-。
「念の為確認するけど」
龍貴は口を開いた。
「まさかさっきのあいつが、泣く程好きな相手じゃないだろうな」
「そんなわけないじゃん!」
弾かれたように、泉夏は即答する。
だよな-龍貴は煙草を吸えない口寂しさを埋めるように、ガムを含んだ。
「十歳違うってゆったじゃん。彼はクラスメートだよ」
「分かってるよ。だけど、万が一って事もあるから。俺の目にはお前が手を離して欲しそうに映ったけれど、実は片想いの相手だったりしたら…余計なお世話だったのかなって」
「…余計じゃなかったよ」
-だから、ありがとうって。
泉夏が呟けば。
なら、良かった-龍貴は笑った。
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