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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「…有り得ないから、そんな心配なんていらないよ」
小声で現実を教えたのに、またしても素早く切り替えされた。
「その台詞は俺もさっき言った。そしたら泉夏はなんて答えたっけ?」
「なんて、って」
「『自分が思ってる以上なんだから、少しは自覚しろ』…って?」
実に面白そうな彼の目に、泉夏は頬を染める。
「だってほんとにそうだもん。先生はほんとに…!」
「俺もね、ほんとにそう思ってる。泉夏が俺に対して思っている事を、俺は泉夏に対して思ってる。例え泉夏がどんなに自分は違うんだと言ったところで、俺はそう思ってるんだから仕方がない」
はっきり、きっぱり、告げられて。
泉夏は最早何も言えない。
赤い顔でただ黙るしかない彼女の頬に、秀王は触れた。
「だから。俺も『少しは自覚する』から泉夏もして?」
-冗談じゃなく心配してる。
熱を帯びた頬が、更に熱さを増した。
こうまで言われたら、もう首を振るしかなかった。
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