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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「…だから眠いって」
-言ったじゃん。
泉夏は口を尖らせた。
「なんだかんだで、寝たのは三時近かった。今朝は六時には起床で…!」
「俺より十も若いんだから、一晩ぐらい寝なくても平気じゃない?」
薄い苦笑いを継続しながら、責任逃れともとれない事を言われる。
泉夏は抗議の意味を込め、繋いでいた右手を強く引いた。
「若いからとか関係ないっ」
「そう?俺は割となんともないけど」
「…時差じゃないの」
「そうなのかな?それも少しはあるかもしれないけど」
「そうだよ。睡眠三時間じゃ、流石に-」
-足りない。
全部を言い終わらぬうちに、彼の言葉が被ってきた。
「なら、これから眠くなってくるかもしれない。向こうは夜になる時間だから」
「…ホテルに戻ったら少し寝たら」
泉夏の提案に、彼は繋いだ手を引き寄せて囁いた。
「一緒に寝る?」
それを受けて、泉夏の頬に朱が差した。
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