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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「寝ない。絶対寝ないっ」
全力で否定してくる泉夏に、秀王は圧倒される。
「…そんなにきっぱり断られると、結構傷付く」
「寝るって言って…絶対寝ないに決まってる」
-だから、帰る。
言い切り、泉夏は視線を前に戻す。
横顔はかなり赤い。
「帰っちゃうの?まだ春休み中なのに?」
淋し気に問われ、泉夏はすぐさま揺らいでしまう。
惚れた弱みで結局、冷たくなんてあしらえない。
「…だ、だって。お仕事始まるまでにやらなきゃいけない事、沢山あるでしょ。手続きや…お仕事の準備もしなきゃだし。そもそもいつまでもホテルにいられないから、早くマンションも整えたりもしないと」
「そんなのは泉夏がいても全然困らない」
-寧ろ、いつだって一緒にいたい。
しどろもどろの泉夏に、秀王は微かな笑みを張り付けた。
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