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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「…な、んで笑ってるの」
泉夏は右隣りの彼を見上げ、怯む。
「いや-」
-やっぱり可愛いなって。
泉夏を一瞥し、秀王はすぐに視線を逸らす。
ずっとは無理だった。
それ以上は魅入られて、制御が効かなくなる。
早朝の明るい歩道の真ん中だろうが、抱き締めるくらいはしてしまいそうになる。
どうしてその瞳だけで。
どうしてその唇だけで。
こんなにも自分を惑わす事が?
しかし当の本人は全くの無自覚で、更に頬を膨らませてきた。
「またそういう事を平気で…!」
限りなく本心なのだけど、残念ながら彼女には伝わってないらしかった。
どれだけ自分を夢中にさせてるか、そろそろ分からせてやりたいところだったが-生憎、ここではそれは難しい。
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