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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「本気にしてよ、秀-」
彼女の意志は揺がなかった。
それに安堵しながらも、もっと確かめずにはいられない。
「院に行って、ようやく就職する頃には数年が経ってる。それでもその時…泉夏の人生の一部分に、俺はまだいるかな?」
「…うん。いるよ」
迷いなく頷かれ、喜びは募る。
先の事は勿論誰にも分からない。
それでも、今の気持ちで『数年先も一緒』だと即座に答えてくれた。
自分と一緒の未来を共有してくれている-こんなに嬉しい事はなかった。
なのに、貪欲な自分を制する事が出来ず、遂に一番の核心を突いてしまう。
「その後は…どうかな」
「あと?」
「就職して、それから更に先はどうなのかなって」
こんな事を今、訊くつもりはなかった。
日々積もる幸せに、もっと上を望む気持ちが制御不可能になってきてる。
困ったように口を噤んでしまった彼女の姿に、そんな自分を後悔する。
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