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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「『あなたとずっと一緒にいたい』なんて。『一生大切にしたい』だなんて。恋焦がれきた最愛の彼女にそんな事を言われたら。もう堪らなく可愛いくて、堪らなく愛しくて。この腕に抱きたいって思って当然だ」
誘(いざな)うような視線に、泉夏の心臓は波打つ。
「も、もう帰ろっ?」
恥ずかしさを隠す為。
泉夏は繋いだ彼の手を乱暴に引いた。
そして今度は、さっきの逆。
その場から動こうとしない彼に、腕が背中側に引っ張られる。
身長はまあまあ高い方だけど、龍貴に言わせれば食が細く、重さがいまいち足りてないらしい。
踏ん張りがきかず、数歩後ろに足が動いてしまうのはそのせいだろうか。
そんな泉夏の肩を、繋いだ手を解(ほど)いて背面から秀王は支える。
「…しゅう?」
-帰らないの?
訝し気に半分ほど振り返る。
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