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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
背後から、温かで優しい腕に抱き締められた。
どきどきする。
いつだって。
それはもう、最高に。
誰かに見られるよ-続けようとしたのに、見透かしたように彼は言った。
「別に構わない。悪い事をしてるわけじゃない」
「…それは、そうだけど」
「泉夏が悪い」
「え…なに?」
「『一生』とか『ずっと』とか…とにかく全部、俺を喜ばせる事ばかり言ってくる」
自らの身体を包む力が、もっと強くなった。
全速力でのマラソンみたく、鼓動はどんどん速まってゆく。
悪い事をしてるわけじゃないけど、でも恥ずかしさは当然あって。
離して欲しい。
でもそれは嫌だからじゃなくて。
本当は離してくれなくても全然、困らなくて。
どうすればいいのか分からず、とりあえず後ろから大人しく抱かれたままでいるしかない。
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