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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「…先生は『先生の仕事』が好きなの?」
密かに気になっていた問いを、思い切ってぶつけてみる。
好きじゃなければ、務まらないなとも思うし。
生活の為には、仕事は選べない場合もあるだろうとも思う。
でも優秀な彼の事だ。
自分の望む職業に、自由に就ける気がするし。
一度辞めた職を再び選んだのは、やっぱり『好きだから』に他ならない?
唐突な泉夏の疑問に秀王は驚き、そして苦笑した。
「以前は生活の糧として、繋ぎとして、そう深く考えずに選んでいた事は否めない。だからって適当にやってたつもりは勿論なくて、自分なりに責任を持って職務を全うしていたけれど。…でも今なら、もっといい先生をやれる気がするんだ。新たな気持ちでもう一度、頑張ってみようって」
「…秀は、いい先生だったよ。もっといい先生になれるよ」
-絶対。
泉夏は確信を持って告げ、彼の腕を逃れ、身体を反転させた。
向かい合えば、嬉しそうに微笑まれた。
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