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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「指輪の代わりは、店に行けばいくらでも売っている。泉夏が欲しいと言うのなら、いくらでも買ってあげる事が出来る」
「…」
「でも。泉夏の代わりはどこにもいない。どこにも売ってない。価値?世界でただひとりの存在だ。唯一のひとだ。ずっと一緒にいたい。ずっと自分だけのものでいて欲しい。…だから、その時が来ればいいと思ってる。本気で思ってる。その時が来たら、受け取って欲しい。他の誰からも、もらわないで」
-俺からだけだ。
恋情の籠った双眸に縛られ、泉夏の身体は熱を帯びる。
はっきりなんて言われてないけど。
でも、これってもしかして。
その時って、もしかして。
自分が思ってるそれと、彼の言ってるそれは-ひょっとして、同じ?
「…そ」
訊き返すのも恥ずかしい。
だけど万が一、間違っていた場合はもっと恥ずかし過ぎる。
頬を火照らせながらも、泉夏は自分を奮い立たせた。
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