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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「その時って-」
-どの時?
小さな小さな声で確かめる。
けれど、先に訊いたのはこちらの方だったのに、逆に問い返されてしまう。
「本当に少しも分からない?」
明らかな失望を含んだ彼の物言いに、泉夏は黙るしかない。
「…それは」
顔を覗き込むように見られ、泉夏の心拍数は上昇する。
「泉夏はたまに鈍いところがあるからな」
だが次の瞬間。
放たれた秀王の言葉に、泉夏は抗議の声を上げた。
「超鈍感な先生には、言われたくないし-!?」
四年前。
正にこの場所で始まった私の恋に、ずっと気付いてくれなかった。
だから『さよなら』もなく、私ひとりを置いて勝手に遠くに。
いっぱい泣いたんだから。
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