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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
私だけを見ているあなた。
興奮するにはこれだけで十分。
息苦しさを抑え、テキストを開く。
覗き込む為に近付く顔。
清涼感のある香りが嗅覚を刺激する。
上の空だなんてもう二度と思われたくないから、あなたを見ていたいけれど我慢する。
その代わりに。
テキストに視線を落とし、説明に頷きながら-あなたの匂いに溺れてる。
あなたに、溺れまくってる-。
「…珍しいな」
「えっ?」
質問を持ちかけたのは自分の方なのに、逆に突然問われ、泉夏は慌てて我に返る。
「珍しい…?」
どきどきしながら、彼の次の発言を待つ。
「いつもの席じゃなかった」
目線はテキストのまま、秀王は静かに言葉を紡いだ。
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