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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
「あ…」
泉夏は何を尋ねられているのかを、ようやく理解した。
「今日は寝坊してしまいました。なので、ぎりぎりで教室に入ったら、いつもの席は取られちゃってて。残念…って言うか?」
四月の初日から変わらない定位置。
最前列の真ん中。
彼の授業がある日は誰よりも早く教室に来て、必ずこの場所に座ってた。
気付いてくれていた-嬉しくなったのも束の間。
毎回同じ席-しかも目の前にいられたら、嫌でも覚えるか。
喜んでいいのか微妙になってくるけれど。
今日だって本当は、いつもの席であなたの講義を聞きたかった。
だけど昨日の今日だから、あんまり早く来過ぎると多分-。
「…流川」
背後から、遠慮がちな声がする。
きっと昨日の事を謝りに来る-それが分かっていたから。
泉夏は何を尋ねられているのかを、ようやく理解した。
「今日は寝坊してしまいました。なので、ぎりぎりで教室に入ったら、いつもの席は取られちゃってて。残念…って言うか?」
四月の初日から変わらない定位置。
最前列の真ん中。
彼の授業がある日は誰よりも早く教室に来て、必ずこの場所に座ってた。
気付いてくれていた-嬉しくなったのも束の間。
毎回同じ席-しかも目の前にいられたら、嫌でも覚えるか。
喜んでいいのか微妙になってくるけれど。
今日だって本当は、いつもの席であなたの講義を聞きたかった。
だけど昨日の今日だから、あんまり早く来過ぎると多分-。
「…流川」
背後から、遠慮がちな声がする。
きっと昨日の事を謝りに来る-それが分かっていたから。

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